「シグナスグリファスって遅いらしい」——そんな声、ネットでちょくちょく見かけますよね。
購入前にそれを見てしまったら、気になって当然です。
ただ、バイク歴20年の筆者として正直に言わせてください。
GPS実測の最高速は約94km/h、0-100km/h加速は22.2秒という数字は、125ccクラスのスクーターの中でトップ水準です。
「遅い」という評判と、実際のデータには大きなギャップがあります。
では、なぜ「遅い」という声が出るのでしょうか。
そして、もし本当に物足りなさを感じているなら、どうすれば解決できるのか。
この記事では、その疑問をデータと経験で丁寧に解き明かしていきます。
この記事を読むことで、以下の3点が分かります。
- 実測データから見るシグナスグリファスの加速性能の本当の実力
- 「遅い」と感じてしまう3つの構造的な理由
- 今すぐできるカスタムから本格チューンまで、速くする方法4選
- シートやサスペンションの乗り心地改善テクニック
シグナスグリファスは遅い?実測データで見る加速の本当の実力
「遅い」かどうかを語るなら、まず数字で見てみましょう。
感覚論より、データの方がずっと正直です。
| 項目 | シグナスグリファス |
|---|---|
| GPS実測最高速 | 約94km/h |
| メーター読み最高速 | 約103km/h |
| 0-100km/h加速 | 22.2秒 |
| 最高出力 | 12.0PS / 8,000rpm |
| 最大トルク | 11.0N·m / 6,000rpm |
| 車両重量 | 125kg |
最高速はGPSで約94km/h…これって、遅いの?
シグナスグリファスをノーマル状態で走らせると、メーター読みで103km/h、GPS実測では約94km/hというデータが独立した検証サイトによって報告されています(参照:mihiro.sakura.ne.jpによるGPS実測検証)。
この数字を見て「思ったより出ないな」と感じた方、少し待ってください。
ここで重要なのが「ハッピーメーター」の存在です。
ハッピーメーターとは?
ハッピーメーターとは、車両のスピードメーターが実際の速度より多めに表示される特性のことです。
ざっくり言うと「メーターが実際より5〜10km/h盛って表示される」現象ですね。
道路交通法上、メーターが実速より低く表示されることは許されていないため、メーカーは安全マージンとして意図的に少し多めに表示するよう設計しています。
グリファスの場合、メーター読み103km/hに対してGPS実測94km/hという約9km/hの差は、125ccクラスのスクーターとしては平均的な誤差の範囲です。
つまり、メーターの数字だけで「遅い・速い」を判断するのは正確ではありません。
GPS実測で94km/hという数値は、125ccスクーターとしては十分な実力です。
日常の通勤・通学はもちろん、幹線道路や郊外での巡行においても、交通の流れに乗るのに困る場面はほとんどないでしょう。
0-100km/h加速22.2秒は、他の125ccと比べてどう?
「最高速より加速感が大事」という方も多いと思います。
同じく実測データをもとに、主要な125ccスクーターと比較してみましょう。
| 車種 | 最高出力 | 車両重量 | 0-100km/h加速 | フレーム形式 |
|---|---|---|---|---|
| シグナスグリファス | 12.0PS | 125kg | 22.2秒 | アンダーボーン |
| PCX125(JK05) | 12.5PS | 132kg | 約25〜27秒 | アンダーボーン |
| アドレス125 | 約8.7PS | 約109kg | 約28〜30秒 | アンダーボーン |
※PCX・アドレス125の0-100km/h加速は各種実測動画・レポートを参考にした参考値です。
この比較表を見ると、グリファスは125ccクラスの中でも0-100km/h加速がトップクラスであることがわかります。
特にPCXより7kg軽いボディが効いていて、70km/h以降の伸びは特に優秀です。
PCXは最高出力こそ12.5PSとグリファスより上ですが、車重が132kgと重いため、実際の加速感ではグリファスに軍配が上がる場面が多いです。
「軽さは正義」という言葉はスクーター選びにも当てはまります。
先代シグナスXと比べたら、むしろ速くなってるって知ってた?
「グリファスは先代より遅くなった」という話を耳にすることもありますが、スペックで比較するとこれは完全な誤解です。
| 比較項目 | 先代シグナスX(5型) | シグナスグリファス |
|---|---|---|
| エンジン冷却方式 | 空冷 | 水冷 |
| 最高出力 | 9.8PS / 7,500rpm | 12.0PS / 8,000rpm |
| 可変バルブ機構(VVA) | なし | あり(6,000rpm作動) |
| 出力向上率 | — | 約20%以上向上 |
グリファスへのモデルチェンジで最も大きな変化は、空冷から水冷エンジンへの転換と、VVA(可変バルブ機構)の搭載です。
VVAとは、エンジン回転数に応じてバルブの開閉タイミングを変化させる機構で、6,000rpmを境に低回転域のトルクと高回転域のパワーを両立させます。
バイクブロスの試乗インプレでも「アベレージスピードは明らかに5型以前より速い」と評価されており(出典:バイクブロス・マガジンズ シグナスグリファス試乗記)、先代より退化したという評価は数字的にも体感的にも当たりません。
シグナスグリファスが遅く感じる理由…これを知ると「なるほど」と思えます
データ上は速いのに、なぜ「遅い」と感じる人が出てくるのか。
実はここに、グリファスという車種の設計思想が深く関わっています。
CVTのギア比が「高速寄り」に設定されているから
グリファスが発進直後にもっさり感じる最大の理由は、CVTのギア比が他の125ccより高速寄りに設定されていることです。
これを理解するには、CVTの仕組みを少し知っておく必要があります。
CVTのギア比をざっくり解説
CVT(無段変速機)とは、ギアが固定されていない自動変速の仕組みです。
わかりやすく言うと「発進時は軽いギア、速度が出てきたら重いギアに自動で変わっていく」という装置です。
そして、このギア比の「どこに重心を置くか」によって、乗り味が変わります。
低速寄りに設定すると発進ダッシュは鋭くなりますが最高速が伸びにくくなり、高速寄りに設定すると発進はゆったりになるが高速域での伸びがよくなります。
実測検証データによると、グリファスは70km/hを超えたあたりから他の125ccスクーターより明確に速くなります。
つまりグリファスは「ゼロ発進の鋭さ」より「高速域の伸び」を重視した設計なのです。
通勤・通学でストップ&ゴーが多い場面では「もっさり」と感じやすく、幹線道路や郊外走行では「意外と速い」と感じやすいのはそのためです。
スポーティな見た目が「期待値」を上げすぎてしまう問題
グリファスを初めて見たとき、「これは速そうだ」と思いませんでしたか?
鋭いLEDヘッドライト、戦闘的なシュラウドデザイン、タコメーター付きのデジタルメーター——どこを見ても「俊足スポーツ」を連想させる外観です。
ところが、実際の加速フィールは「ジェントルでスムーズ」という表現がぴったりな乗り味です。
ギュンと飛び出す刺激的な発進ではなく、滑らかに速度を乗せていく上品な加速感。
このギャップが「思ったより遅い」という印象を生んでいる側面は、正直否定できません。
これはグリファスの欠点ではなく、「速さより快適さと安定性を重視した設計意図」の表れです。
バイクブロスの試乗記でも「シャシーの安定感が抜群でどんな状況でも思い切った操作ができる」と評価されており、長距離ツーリングやデイリーユースでの扱いやすさを最大限に引き出した結果と言えます。
排ガス・騒音規制への対応が乗り味に影響している
もう一つ、見落とされがちな理由があります。
それが排ガス規制と騒音規制への対応です。
日本市場で販売されるバイクは、国内の排出ガス規制や騒音規制の基準を満たす必要があります。
この基準に適合させるため、メーカーはエンジンの点火タイミングや燃料噴射量をやや保守的に設定することがあります。
つまり、エンジン本来のポテンシャルをあえて抑えた状態で出荷されている面があるのです。
実際、実測検証データでは、吸排気系と駆動系をチューニングしたグリファスの0-100km/h加速が14.7秒(ハッピーメーター考慮後でも15秒台)という結果が記録されています。
ノーマルの22.2秒から約8秒も短縮されており、これは150ccクラス相当の加速力と言っても過言ではありません。
「遅い」のではなく、「まだ本気を出していない」——そう考えると、グリファスの見え方がかなり変わってきませんか?
シグナスグリファスを速くする方法4選【すぐできる順に紹介します】
ここからは実践編です。
手軽なものから本格的なものまで、コストと効果を正直に解説します。
| カスタム方法 | 費用目安 | 難易度 | 効果 |
|---|---|---|---|
| ウェイトローラー交換 | 1,000〜3,000円 | ★★☆☆☆ | 発進〜中速域の加速改善 |
| プーリー&ベルト交換 | 1万〜3万円 | ★★★☆☆ | 全域のパワー底上げ |
| マフラー交換 | 3万〜8万円 | ★★★☆☆ | 中〜高回転域のトルク改善 |
| ボアアップ | 7.5万〜20万円+ | ★★★★★ | 全域で劇的な性能向上 |
まず試してほしい!ウェイトローラーの交換でダッシュ力が変わります
グリファスを速くしたいなら、まず最初に試すべきはウェイトローラー(WR)の交換です。
費用は1,000〜3,000円程度、パーツ交換の難易度も比較的低く、体感できる変化が大きい——コスパ最高のチューンです。
ウェイトローラーとは?
ウェイトローラーとは、CVTの中に入っている小さな円柱形のおもりです。
速度が上がると遠心力でWRが外に飛び出し、プーリーの径が広がることでギアが上がる仕組みになっています。
このWRの重さを変えることで、加速特性をコントロールできます。
グリファスの純正WRは重めの設定(詳細は要実測)となっており、これが前述の「高速寄りのギア比」に繋がっています。
WRを軽くすると、プーリーが早いタイミングで広がるため、発進〜中速域の加速がシャープになります。
推奨WR重量と体感変化
| WR重量 | 特性 | こんな人に向いてる |
|---|---|---|
| 純正(重め設定) | 高速域が得意・発進はまったり | ツーリング・高速道路メイン |
| 10g前後 | バランスが良く扱いやすい | 街乗り〜ツーリング両用 |
| 9g前後 | 発進ダッシュが鋭くなる | 街乗り・通勤・交差点多い |
| 8g以下 | 低速域は鋭いが最高速は落ちる | ストップ&ゴー特化・峠下り |
20年のバイク歴から言うと、最初の1本は9〜10gが最もバランスよく効果を感じやすいです。
グリファスのWRサイズはΦ20mm×12mmで、このサイズに対応した社外WRが各メーカーから豊富に出ています。
プーリー&ベルト交換で駆動系を丸ごとリフレッシュ
WR交換の次のステップとして、プーリーとVベルトのセット交換は「消耗品の更新」と「性能アップ」を同時に達成できる一石二鳥のカスタムです。
プーリー交換で何が変わる?
プーリーとは、CVTの変速を担う円盤状の部品です。
社外のスポーツプーリーに交換すると、WRが動ける範囲(ストローク)が広がり、変速スピードが速くなって加速がシャープになります。
WRだけ交換した場合より、さらに一段上の加速感が得られます。
また、Vベルトは走行距離が伸びると劣化してスリップが増え、動力の伝達効率が落ちます。
目安として1万km前後での交換が推奨されており、プーリー交換と同時に行うと工賃を節約できます。
駆動系をまとめてリフレッシュすることで、新車時のパワー感を取り戻しつつ、さらに上を目指せるわけです。
費用はプーリー単体で8,000〜20,000円前後、ベルトが3,000〜8,000円前後が目安です。
工賃込みで依頼する場合は工場によって異なりますが、全体で2〜4万円程度を見込んでおくと良いでしょう。
マフラー交換はトルク特性を変えられる…ただし注意点あり
マフラー交換は「音も変わる・見た目も変わる・性能も変わる」三拍子揃ったカスタムです。
ただし、グリファスのマフラー交換は「やり方を間違えると逆効果」になるケースがあるため、注意点をしっかり把握してから実施してください。
マフラー交換の効果
純正マフラーは消音・排ガス規制クリアを優先した設計のため、排気効率がやや低めです。
スポーツマフラーに交換すると排気効率が向上し、特に中〜高回転域のトルクが太くなる傾向があります。
WR交換との組み合わせで、発進から最高速まで全域でのパフォーマンスアップが狙えます。
必ず確認すべき保安基準・法的注意点
ここが重要なポイントです。
国土交通省の「交換用マフラー事前認証制度」により、公道走行用のマフラーは音量・排ガス基準を満たした認証品を選ぶ必要があります(出典:国土交通省「交換用マフラー事前認証制度」)。
「保安基準適合」と記載があっても、政府認証試験を受けていない製品は車検や取り締まりでNGになるリスクがあります。
購入前にJMCA(全国二輪車用品連合会)認証マークの有無を必ず確認してください。
また、グリファスはFI(燃料噴射)車のためO2センサーが付いています。
マフラー交換時にはO2センサーを新しいマフラーへ移設する作業が必要です。
このあたりの作業に不安がある方は、バイクショップへの依頼をおすすめします。
ボアアップは「最終手段」…費用対効果とリスクを正直に解説します
「もっと根本的に速くしたい」「150ccクラスの加速を手に入れたい」という方向けの選択肢がボアアップです。
ただし、これはコストもリスクも最も高いカスタムです。
20年のバイク歴から、メリットとデメリットを包み隠さずお伝えします。
ボアアップとは?どこまで排気量を上げられる?
ボアアップとは、エンジンのシリンダー内径(ボア)を広げることで排気量を増やすカスタムです。
グリファス(124.6cc)の場合、市場に流通しているボアアップキットを使うと155cc〜180cc程度まで排気量を拡大できます。
158ccキットで約75,000円〜、168ccキットで195,000円〜が実勢価格の目安です。
必須!普通二輪への登録変更手続き
ボアアップで排気量が125ccを超えた場合、原付二種(125cc以下)から軽二輪(126〜250cc)へのナンバー変更と登録変更が法律で義務付けられています。
これを怠ると「無車検車両運行」という重大な違反になります。必ず手続きを行ってください。
| 変更後の区分 | 必要な免許 | 車検 | 保険 |
|---|---|---|---|
| 軽二輪(〜250cc) | 普通二輪以上 | 不要 | 任意保険の見直し必要 |
また、ボアアップ後はエンジンへの負担が増すため、冷却系・オイル管理・駆動系のセッティングも合わせて見直す必要があります。
費用総額は工賃込みで最低でも10万円以上を覚悟してください。
「まずWR交換を試して、それでも物足りなければ」という順序で検討するのが賢明です。
なお、バイクを乗り換えて費用を捻出したい場合は、愛車の買い取り査定を先に済ませておくのがおすすめです。
💡 愛車を高く売るなら一括査定が基本
バイクを買い替える前に、複数業者への一括査定で相場を把握しておきましょう。1社だけだと買い叩かれるリスクがあります。
愛車の「現在価格」を調べる
ディーラーの下取り額は、市場相場より10万円以上安いことも珍しくありません。 売る予定がなくても、「今の価値」を知っておくことは重要です。
※入力はカンタン30秒。電話勧誘なし設定も可。
シグナスグリファスの乗り心地も改善したい…シートとサスで快適度アップ
速さだけでなく、長距離でも疲れない乗り心地も大切にしたい。
そんな方のために、シートとサスペンションの改善方法をまとめました。
シートが硬い問題、社外シートカバーや低反発スポンジで解決できます
「シートが硬くて長距離がつらい」——これはグリファスオーナーからよく聞く声です。
グリファスのシートが硬めに設計されている理由は、コスト設計と耐久性の確保にあります。
柔らかいウレタンは底づきしやすく長期使用での劣化も早いため、メーカーは耐久性を優先しているのです。
解決策は主に2つあります。
解決策① シートカバー交換(手軽・低コスト)
ゲルザブやエアゲルを内蔵した社外シートカバーを被せる方法です。
費用は3,000〜10,000円程度で、工具不要・取り付け5分という手軽さが魅力です。
ただし、シートの見た目が変わる点と、ずれが生じる場合がある点は把握しておきましょう。
解決策② ウレタンスポンジ交換(本格・高効果)
シートの表皮を剥がして中のウレタンを低反発スポンジに交換する方法です。
費用は工賃込みで10,000〜20,000円程度かかりますが、乗り心地の改善効果は非常に高く、見た目も変わりません。
専門のシート業者に依頼するのが確実です。
サスペンション調整でツーリングの疲労感が大きく変わります
グリファスのリアサスペンションにはプリロード調整機能が付いています。
プリロードとは、スプリングの初期圧縮量のこと。
この調整だけで、乗り心地が劇的に変わることがあります。
体重別・推奨リアサス設定
| 体重の目安 | 推奨プリロード設定 | 効果 |
|---|---|---|
| 60kg以下(軽め) | 最弱〜弱 | 路面の凹凸をよく吸収・しなやかな乗り心地 |
| 60〜80kg(標準) | 中間設定 | バランスの良い乗り心地 |
| 80kg以上(重め) | 強め〜最強 | 底づきを防止・安定感向上 |
| 二人乗り | 最強設定 | 荷重増加に対応・安定走行 |
純正サスペンションに不満を感じるなら、社外リアショックへの交換も効果的な選択肢です。
RCBのプレミアムサスペンション(25,000円前後)は、コストパフォーマンスが高いと複数のグリファスオーナーから評価されています。
さらに突き詰めるなら、フロントフォークオイルの交換も試す価値があります。
フォークオイルが劣化すると減衰力が落ちてフロントがふわふわした感触になるため、2万km前後での交換が目安です。
作業はバイクショップへの依頼が無難です。


















































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