「トレーサー9GT、後悔しないかな…」という言葉で検索しているあなたに、少し正直に話させてください。
バイク歴20年、これまで数えきれないくらいの乗り換えを経験してきた自分から見て、トレーサー9GTは「誰にでも勧めるバイク」ではありません。
でも「ハマる人には間違いなく最高の一台」でもある、そういうバイクです。
この記事では、実際に後悔したオーナーの声と対策、そして「それでも買って良かった」と感じる理由を、忖度なしでまとめました。
購入前の最後の判断材料として、ぜひ読んでみてください。
この記事を読むとわかること
- トレーサー9GTで後悔した人が口を揃える欠点5つと、その具体的な発生状況
- 身長165cm・170cmの足つきのリアルと、対策ごとの効果と副作用
- それでも「買って良かった」と感じるオーナーが語る5つの理由
- 自分がトレーサー9GTに向いているか確かめる3つのステップ
トレーサー9GT で後悔した人が口を揃える欠点5つ
後悔の声を集めると、驚くほど共通するパターンがあります。
スペック表には出てこない「乗ってみて初めて気づく問題」を、発生メカニズムまで掘り下げて解説します。
① 足つきが思ってたより厳しい…まず知っておくべきこと
後悔の声でダントツ1位なのが、足つきの問題です。
ヤマハ公式のシート高は845mm(2025年モデル、低い位置)。
数字だけ見ると「まあなんとかなるか」と思いがちですが、実際に跨ると想像以上に厳しく感じるケースが多いです。
理由は主に2つ。シート幅がやや広く、足がハの字に開かされること。
そして電子制御サスペンション(電サス)特有の落とし穴があること。
電サスの落とし穴については次のH2で詳しく解説しますが、一言だけ先に言うと「キーOFFの展示車に跨って足つきを確認しても意味がない」ということです。
試乗や購入検討の際は、必ずキーをONにした状態でシート高を確認してください。
この点だけは強く覚えておいてほしいです。
② エンジン熱が夏はキツい…足元の排熱問題
夏の信号待ちで後悔する人が多いのが、この排熱問題です。
888ccの3気筒エンジンが発する熱は相当なもの。気温が30℃を超える真夏日に、5分以上の渋滞や信号待ちが続くと、ラジエーターファンからの熱気がカウルの隙間を通り、特にライダーの右ふくらはぎから足首付近に集中して吹きかかってきます。
薄手のズボンや短いブーツで乗っている場合、低温やけどを疑うほどの熱さを感じるという声もあります。
対策としては、夏場は必ず革製のロングブーツと厚手のライディングパンツで乗ること。それだけでかなり緩和されます。
ただ、「夏の街乗りメインで使いたい」というライダーには、正直なところストレスになりやすいポイントです。
排熱問題は装備で対処できますが、「対処が必要」という前提を知らずに購入すると後悔につながります。
③ 車重227kgは街中でじわっと効いてくる
「重いのは分かってた」と言う人ほど、後から「思ってたより重い」とつぶやきがちです。
2025年モデルのトレーサー9GTの車重は227kg(GT+ Y-AMTは232kg)。
数字だけ見ると「リッタークラスとしては普通」ですが、この重さは高速道路ではほとんど気になりません。問題は日常の場面です。
| 場面 | 重さの影響 | 対策 |
|---|---|---|
| 駐車場での取り回し | 狭い場所でのUターンが重い | センタースタンド活用で定位置確保 |
| 坂道での押し歩き | わずかな傾斜でも踏ん張りが必要 | 平地駐車を意識する |
| 立ちごけ後の起こし | 一人では起こせない場合も | 起こし方を事前に練習しておく |
逆に言えば、高速道路の安定感や風の影響の少なさは、この重さがもたらす恩恵でもあります。
毎日の通勤で使うのか、週末のツーリングメインで使うのか、用途によって重さの感じ方は大きく変わります。
④ シートが長距離でお尻を攻撃してくる
実はこれ、ツアラーとしてはかなり致命的な問題です。
トレーサー9GTの純正シートはスポーティなコシを重視した設計で、乗り始めは悪くないのですが、連続して100〜150km走ったあたりから坐骨に圧痛が来始めます。
200kmを超えると「15分ごとに立ち上がりたい」レベルになる、という声が多くあります。
「せっかくの電子制御サスで乗り心地が良くなっても、シートが硬くては意味がない」という本末転倒に陥りやすいのが、このバイクの盲点です。
解決策は明確で、ゲルザブ(ゲル素材のシートクッション)を導入するか、ワイズギア製コンフォートシート(26,400円・税込 ※2025年モデル対応品)に交換することです。
対策後は400km連続走行でも「痛くなりそう、という手前」で踏みとどまれるようになる、という体験談が多数あります。
ロングツーリングメインで使うなら、購入と同時に対策を組むことをおすすめします。
⑤ 「自分がついていけるか」という後悔もある
これは大手サイトがあまり触れない、でも20年間ライダーを見てきた自分が「最も深い後悔」だと感じるポイントです。
トレーサー9GTは見た目こそアドベンチャー風ですが、その中身はMT-09直系の「極めてアスリート気質なロードスポーツ」です。
MT(マニュアル)仕様を選んだ場合、クラッチミートが繊細で、ゼロ発進でエンストしやすい特性があります。
なお、Y-AMT仕様ではクラッチ操作自体がなく、この問題は発生しません。
ユーロ5+規制への適合に伴う特性変化や、軽量クランク由来の鋭いレスポンスが影響しているとも言われており、低速域でのスロットル操作に慣れが必要な面があります。
道の駅でコーヒーを飲みながらマッタリ往復するような、のんびりツーリング志向のライダーには、正直このバイクは向いていません。
「ワインディングを攻めたい」「高速をビュンビュン流したい」という能動的な走りへの欲求がある人にこそ、その真価を発揮するバイクです。
購入後に「自分の乗り方と合わなかった」と気づくのが、最も後悔が深いパターンです。
💬 管理人ひとこと:「マッタリ乗りたいだけなら、NX400やNC750Xのほうが100倍ストレスなく乗れます。トレーサー9GTはその辺の優しさを一切持っていないバイクです。それが魅力でもあるんですが。」
トレーサー9GT の足つき、165cm・170cmだと実際どうなの?
欠点の中でも特に気になる人が多い「足つき問題」を、ここで徹底的に掘り下げます。
身長別の接地状況と対策の効果・副作用まで、正直にお伝えします。
170cmなら両足つま先つきでなんとかなるレベル
まず最初に、電サスの重要な仕様をお伝えします。
トレーサー9GTのKYB製セミアクティブサスペンションは、イグニッションキーがOFFの状態だとダンパーバルブが閉じていて、サスペンションが非常に固く作動します。
これがどういうことかというと、ショールームや展示車にキーOFFのまま跨ると、体重による沈み込みがほぼ発生しないため、実際に走るときよりも格段に足つきが悪く感じられるんです。
試乗・購入検討時は「必ずキーONにしてから跨る」これを守るだけで、足つきの印象がかなり変わります。
キーONにすることで電子バルブが開放され、ライダーが乗った際にリアサスが適切に沈み込むため、カタログ値より現実的な足つきを体感できます。
そのうえで、身長別の接地状況をまとめると以下のとおりです(2025年モデル・シート低い位置845mm/高い位置860mm)。
| 身長 | 接地状況(キーON・ローポジション) | 停車・取り回しの実態 |
|---|---|---|
| 155cm | 片足つま先がかすかに接触する程度 | 乗車自体が厳しく、路面の凹凸に一切の余裕がない。シートを大きくずらしてようやく片足接地 |
| 160cm | 片足つま先がやっと接地 | 停車のたびに完全に片側へ腰を落とす必要あり。ステップがふくらはぎに干渉しやすい |
| 165cm | 両足つま先の先端のみ(ツンツン) | 砂利や轍での一時停止にリスクあり。足漕ぎでの移動が平地でも困難 |
| 170cm | 両足つま先立ち(親指付け根が浮く) | 片足ならある程度支えられる。疲労時や荷物満載時は立て直しが難しい |
| 175cm | 片足は足裏全体がベタ着き | 精神的な不安はほぼ解消。ただしシート幅があるため若干高め感が残る |
【旧型(2023年GT+)から乗り換える方へ】
2023年モデルのシート高は低820mm/高835mmでした。2025年モデルは25mm高くなっています。
「旧型は問題なかったから大丈夫」と油断せず、必ず試座・試乗で確認することを強くおすすめします。身長165cm以下の方は特に注意が必要です。
170cmのライダーなら「対策なしでも乗れないことはない」というのが正直なところです。
ただし、疲れた状態や砂利道での停車時には常に立ちごけのプレッシャーが存在します。
「気合いでなんとかする」スタイルのライダーもいますが、精神的な余裕があった方が長く楽しく乗れることは間違いありません。
165cm以下は対策必須!試せる3つの方法と副作用
欠点の話が続きましたが、ここからは解決策です。
足つきに不安があっても、適切な対策を組み合わせることで乗り越えているオーナーは多くいます。
ただし、どの対策にも必ず「副作用」があります。バラ色の情報だけで判断しないよう、デメリットも含めて正直に書きます。
| 対策方法 | 効果 | 副作用・注意点 |
|---|---|---|
| ①リアサスプリロード調整(柔らかめ) | コストゼロで静止時シート高を数mm下げられる | プリロードを抜きすぎると車体がリア下がりになり、旋回性能が著しく低下する。「全抜き」は絶対NG |
| ②ローダウンリンク(ワイズギア製) | 車高を約26mmダウン(845mm→約819mm)。最も確実な足つき改善策(参考価格・適合は※要確認) | センタースタンドが重くなる。サイドスタンド時の傾きが起き気味になり強風で右側に倒れやすくなる。バンク角が減少する |
| ③停車ルーティンの確立 | コストゼロ。ニュートラルに入れ右足ブレーキ、左足一本でしっかり接地する習慣で安定感アップ | 習得に時間がかかる。疲労時に手順が崩れやすい |
ローダウンリンクは効果が最も大きい対策ですが、センタースタンドが重くなる副作用は地味に日常使いに響きます。
どの対策を選ぶにしても、「完璧な解決策はない」ということを前提に、自分のライフスタイルに合った組み合わせを選ぶのが現実解です。
なお、足つき問題に悩む前に一度試してほしいのが、「厚底ブーツの着用」です。3cm程度ヒールのあるライディングブーツに変えるだけで、体感の足つきはかなり変わります。
対策の中では最も副作用が少なく、費用対効果も高い選択肢です。
💡 ヤマハ公式のスペック・オプション情報はこちらで確認を
シート高の正確な数値やローダウンリンクの適合確認は、必ずヤマハ発動機の公式サイトでご確認ください。
年式によって仕様が異なる場合があります。
それでもトレーサー9GT を買って良かったと感じる5つの理由
欠点を正直にお伝えしてきましたが、それを踏まえたうえで「やっぱり最高だ」と口を揃えるオーナーが多いのも事実です。
ここからは、後悔を乗り越えたオーナーが語る、トレーサー9GTの本当の魅力をお伝えします。
3気筒エンジンの鼓動感はクセになる
「乗ってみるまで分からなかった」という声が最も多いのが、このエンジンの気持ち良さです。
888ccの並列3気筒エンジン(CP3)は、最高出力120PS・最大トルク9.5kgf・m(7,000rpm)というスペックを持ちます。
数字よりも体感の方が伝わりやすいので正直に言うと、「中回転域から一気に湧き上がる力強さと、3気筒特有のビートが重なって、気づいたらニヤニヤしている」感じです。
2気筒のドコドコとも、4気筒の高音系とも違う、独特の気持ち良さがあります。
「ワインディングで思った以上にヒラヒラと曲がる」という感覚は、アドベンチャー外観からは全く想像できないギャップで、乗り込んでみて初めて気づく最大の喜びです。
高速道路でのクルージングも抜群で、5速・6速での余裕あるトルクは、追い越し加速でストレスを感じることがほとんどありません。
「速さ」というより「余裕」がある走りです。
電子制御フル装備でロングツーリングが激変する
GT+に搭載されているアダプティブクルーズコントロール(ACC)は、ミリ波レーダーで前車の車間を測定しながら自動追従してくれる機能です。
ざっくり言うと「アクセルをほぼ操作しなくても、前の車に合わせて速度が自動で調整される」という便利機能です。
1日500kmを超えるロングツーリングでも、手首と精神的な疲労がこれまでのツアラーと比べて大幅に減ると、オーナーからは一様に高い評価が出ています。
高速道路主体のツーリングを年に数回以上楽しむ人には、この装備の恩恵は計り知れません。
| 電子制御装備 | 実際の恩恵 |
|---|---|
| アダプティブクルーズコントロール(GT+) | 高速道路での手首疲労が激減。前車追従で精神的余裕が生まれる |
| 電子制御サスペンション(KYB製) | 路面状況に応じてリアルタイムに減衰力が変化。荒れた路面でも安定感を保つ |
| コーナリングABS・トラクションコントロール | バンク中の急ブレーキや滑りを電子制御が補助。安全マージンが格段に上がる |
| 7.0インチフルカラーTFTディスプレイ(GT・GT+共通) | グローブ対応タッチパネル搭載。専用アプリ「Y-Connect」でスマートフォン連携、着信通知・音楽操作が可能 |
| Garmin Motorize連携ナビ(GT・GT+共通) | 「Garmin Motorize」アプリを使えばナビ画面を7.0インチTFT上に全画面表示。スマホ別付け不要でロングツーリングが快適になる |
「電子制御の恩恵は、乗り込むほど実感が増す」というオーナーの声が多く、長期所有者の満足度が高いのもトレーサー9GTの特徴です。
パニア込みでキャンプツーリングも余裕でこなせる
ツアラーとしての積載力も、買って良かったと感じるポイントのひとつです。
トレーサー9GTにはサイドケース取り付け用ステー(ダンパー内蔵)が標準装備されており、ワイズギア製サイドケース(片側約30L・別売り)を装着すればキーレス施錠・開錠に対応したフルパニア仕様にできます。
フルパニア状態でもハンドリングが大きく崩れないのが高評価を集めています。[※価格・適合は要確認]
一般的なネイキッドにシートバッグを積んだ状態と比べて、重心管理がしっかりしているため、荷物を満載にしたロングツーリングでも「積みすぎ感」を感じにくいです。
また、重量級リッタークラスのツアラーと比べた場合の優位点として、車重227kgという相対的な軽さがあります(GT+ Y-AMTは232kg)。
同クラスのスポーツツアラーと比べても軽量な部類に入ります(例:BMW R1300GSは237kg、ホンダ NT1100は238kg)。
わずか10kg前後の差ですが、日常の取り回しでは体感できる違いになります。
フルパニア装備で出発しても、細い林道や砂利道で「取り回せない」ということになりにくい。
「重さを感じさせない走り」が乗車頻度を上げ、長期的な所有満足度を高めています。
「荷物を積んでも走りが楽しい」という体験ができるツアラーは、意外に少ないのです。
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トレーサー9GT が「自分に合うか」を確かめる3ステップ
欠点も魅力も分かったところで、最後に「自分はトレーサー9GTに向いているのか?」を確かめる3つのステップをまとめます。
後悔の根本は「自分の乗り方と合わなかった」ことが多いので、ここが一番大事なポイントです。
ステップ①:必ず試乗してエンジンキャラを体で確かめる
「走りの情熱がある人に向いたバイク」と書きましたが、これは試乗で体感しないと分かりません。
発進時のエンジン特性、ワインディングでの軽快感、高速での安定感——これらは乗って5分で体が答えを出します。
試乗の際に必ず確認してほしいポイントが2つあります。
ひとつは「キーONにしてから跨って足つきを確認すること」。
もうひとつは「低速でのクラッチミートの感覚を意識的に試すこと」。
この2点をクリアできると感じたなら、後悔リスクは大きく下がります。
試乗せずに購入するのは、このバイクに関しては特にリスクが高いです。
必ず最寄りのヤマハ販売店で試乗を申し込んでください。
ステップ②:見積もりは複数店舗で取り、値引きと諸費用を比較する
価格面での後悔を防ぐためにも、見積もりは最低2〜3店舗で取ることをおすすめします。
レッドバロンを含む複数店舗に当たることで、値引き額の相場感と諸費用の内訳が見えてきます。
また、納期については事前に確認必須です。
人気モデルゆえ、タイミングによっては数ヶ月待ちになるケースもあります(※各店舗に直接確認を)。
乗り換えタイミングが決まっているなら、早めに動くことが鉄則です。
ステップ③:カスタムで弱点を補う選択肢を先に知っておく
購入前の段階から「シートはカスタムする前提」「足つきはローダウンリンクで対応する」という計画を立てておくと、購入後の後悔が減ります。
よく言われる「完璧なバイクはない」という言葉は、このバイクにも当てはまります。
弱点を知ったうえで対策コストも含めて予算を組んでおくことが、長期的な満足度を上げる最善策です。
「欠点を知って、それでも乗りたいと思えるか?」——それがトレーサー9GTの購入判断における、最終的な問いです。
💡 乗り換えを検討しているなら、今の愛車の査定も並行して動こう
トレーサー9GTへの乗り換えを考えているなら、今の愛車を少しでも高く売ることが資金づくりの第一歩です。複数社の一括査定で相場を把握しておきましょう。
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